前回の記事では、好景気に沸いたバブル時代についてお話ししました。
金利もそうですし、景気についても今では考えられない状況だったんですね。
もう何十年も景気が低迷している時代に生きている若い世代にとっては、バブル景気というのはあまり理解ができない時代だったのかもしれませんね。
そこで今回はそのバブルが弾けて、高額の住宅ローンを抱えたまま身動きが取れなくなってしまった住宅ローン難民問題についてお話ししていきたいと思います。
バブル経済時代、土地がどんどん値上がりするのにつられ、物の値段がどんどん上がり、金利もどんどん上がりました。
ついでに給料もどんどん上がって、特に景気が良かった不動産や証券会社では入社1年目の社員のボーナスが100万円を超えるなんて事もあったようです。
土地は1番の投資商品です。
マイホームを購入したい人が世の中にいっぱい溢れていました。
なので、需要と供給の関係で物件の価格もガンガン上がっていき、都心部のマンションは1億円以上の価格のものも珍しくなかったんですね。
金利も高くなっていたので、住宅ローンを組んでも月々の返済額はかなり高額になっていました。
しかし、それでも世の中はイケイケドンドンの時代だったので、お金が余っていた銀行は個人にもどんどん貸し出したかったんですね。
ステップ償還型ローンって?
ここで登場したのが、前回もご説明した『ゆとりローン』と呼ばれていたステップ償還型のローンなんですね。
これは大きな金額を融資するため、将来の年収アップを見込んで、5年後10年後に返済する金額が格段にアップする形式のローンになります。
当時は土地の価格は青天井でアップしていたので、貸す側も借りる側も『もし数年後に返済金額が上がっても家を打ってしまえば何とかなる』と思っていたから、こんなローンに不安を持つ人はいませんでした。
しかもこの時期、多くの人がボーナスをいっぱいもらっていたので、ボーナス返済も目いっぱい組み込み、高額の住宅ローンを借りて自分の家を買ったという方がたくさんいました。
地価の高騰を抑えるために日銀が行なった事とは?
ところが、膨らみ続けた風船がついに弾ける事になります。
あまりに加熱した地価の高騰を抑えるために日銀は『金融機関が土地の取引に向けて行なう融資の額を規制する』総量規制という政策を打ち出すんですね。
そういう事情から『価格が上がり続ける』と多くの人が信じ切っていた土地の価格が一気に値下がり初めて景気は一瞬にして後退局面に突入してしまいました。
大手金融機関やゼネコンの破綻というあり得ない事が起こり始めたんですね。
給料が下がり、ボーナスも出なくなった!
当然ですが、サラリーマンの収入も上がるどころか下がる事になり、会社によってはボーナスも出ません。
そうなると困るのは、ステップ償還型のローンを組んでいた人達です。
返済の増額が来るまでは生活費を節約し、貯金を切り崩してギリギリ払い続けていたのですが、さらに返済額が大幅にアップしてしまうのだからたまりませんよね。
多くの人は金融機関の窓口で担当者に泣きついて、機関の延長や最終回にまとめて返済するといった感じに返済条件を変更し、何とか凌いで返済を続けました。
しかし、問題は最初からギリギリで組んでいて、どうやっても返済できなくなった人達なんですね。
住宅ローン難民問題の真相とは?
通常住宅ローンが返せなくなった場合、下記のような形で返済していく事になります。
家を売却した代金でローンを返し、不足分は自分で負担する
金融機関と交渉して分割で返していく
しかし、バブル時代の土地の値段が上がり切った時に購入した家はバブル崩壊後に売ろうと思っても値段が下がってしまい、競売の最低価格でも売れないんですね。
たとえ売れたも値段は買った時よりはるかに低く、ローンの返済は消す事ができません。
賃貸住宅に住みながら残されたローンを支払っていくという何とも厳しい状況に追い込まれる人達が続出したんですね。
中には残ったローンを返し切れずに、自己破産する人や思い悩んだ挙句自殺する人まで出現しました。
住宅ローン難民問題と呼ばれる社会現象になったんですね。
住宅ローン難民の人達の多くは普通に暮らし、普通にマイホームを購入した人達です。
そんな人達がちょっと世の中の流れを読み違ったばかりに借金まみれの生活になったり、社会の中での信用を失ったりしたのです。
極端な政策は極端な結果を生み出す!
好景気に浮かれて、誰もが景気が悪くなる事を想像できなくなっていたバブル時代というのは、今の状況とは全く正反対です。
現在日本銀行が実施している『マイナス金利政策』というのは、バブルに終止符を打った『総量規制』とは完全に反対の政策ではあります。
しかし、加熱し過ぎた状態を一気に冷ますための『総量規制』政策にしても、冷え切ってしまった状態を劇的に温めるための『マイナス金利』政策にしても、日本銀行が本気で日本経済を管理しようとしているところに似ている点があるような感じがします。
極端な政策は、極端な結果を生みます。
今後マイナス金利によって、物価の高騰と金利の急上昇が起こって、お金の価値が下がるハイパーインフレを巻き起こすという事になれば、家の値段も上がり、金利も上がって月々の返済額も上がります。
一般市民がマイホームを手に入れるのは、かなり難しい時代いが訪れる可能性も考えられます。
こう考えるとお金の価値が高い状態であり、マイナス金利で金利が下がっている今はまさにマイホームを購入するのにベストなタイミングです。
ポイントは固定金利を使って、安いコストで資金を調達する事です。
今はいつ金利が上がってもおかしくない状況!
マイナス金利政策を実施している日銀ですが、これはかなり極端な政策と言えます。
そもそも景気を回復させるための政策になりますので、実は今はいつ景気が良くなってもおかしくない状況なんですね。
そうなれば、地価が上がり、物価が上がり、そして給料やボーナスも上がると思います。
それと同時に金利も上がる事になるでしょう。
金利が上がればマイホームを購入するためのコストが高くなってしまうので、この史上最低の金利水準の今がマイホームを購入するには絶好のチャンスというわけなんですね。