前回は下記の2つのお話しをさせて頂きました。
- 借入限度額の基本的な考え方
- 返済比率の計算方法
再度おさらいしてみると、返済比率の計算式は下記のように表します。
返済比率(%)=「年間返済額」÷「年収」×100
年収というのは給与所得者であれば税込年収で、個人事業主であれば事業所得になります。
分子となる『年間返済額』というのは下記2つの合計額になります。
- 申し込む住宅ローンの年間返済額
- 住宅ローン以外の分割払いの年間返済額(※その他借入)
この返済比率が決められた範囲内である事が住宅ローンのお申し込みの条件なんですね。
前回の解説では、返済比率の基準というのは、一般の住宅ローンと照らし合わせるとフラット35の方が返済比率は甘くできているという内容だったと思います。
ここでは返済比率の考え方を元に借入限度額を算出する方法を解説したいと思います。
これが分かっていると、マイホーム購入で失敗しない確率が高くなると思います。
前半は数字が複雑でもしかすると面倒くさいかもしれませんが、後半は具体例を使って分かりやすく解説しておりますので、是非参考にしてみて下さいね。

いくらまでなら借りられるかが分かるプロセス
それでは前半の退屈な部分から始めたいと思います(笑)。
返済比率(%)=「年間返済額」÷「年収」×100
繰り返しになりますが、上記の数式で表されている返済比率というのは、住宅ローンにお申し込みをした方の借入限度額を決定する数字になります。
それでは、年収○○○万円、その他借入○○○万円の人ならいくらまでなら借りられるという事が分かるプロセスについてお伝えしたいと思います。

年収390万円、車のローン返済額年間36万円(月々3万円)のAさんを例にしてご説明致します。
数字を1つ1つ見ていきます。
返済比率の範囲は前回もお伝えした通りです。
一般的な銀行ローンの返済比率
前年年収 返済比率
300万円未満 25%以内
400万円未満 30%以内
600万円未満 35%以内
600万円以上 40%以内
フラット35の返済比率
前年年収 返済比率
400万円未満 30%以内
400万円以上 35%以内
となっておりますので、年収390万円のAさんの場合、一般の住宅ローンでもフラット35でも返済比率が30%以内であれば大丈夫という事になります。
返済比率(%)>「年間返済額(ローン返済+その他借入)」÷「年収」×100に当てはめると、30%>「ローン返済+36万円」÷390万円×100になります。
しかし、これではさっぱり分からないと思います。
返済期間と金利が決まれば借入限度額が分かる
ここから分かりやすい後半部分になります。
年収390万円の方は、ローン返済とその他借入の合計が年収の30%以内であれば良いという事で、少し分かりやすくなってきましたね。
年収の30%は、390万円×0.3=117万円です。
Aさんは年間返済額が117万円以内であればOKという事になるんですね。
Aさんは車のローンが36万円あるので、117万円から36万円を引いた81万円が住宅ローンの返済にまわせる限度額という事になります。
年間ローン返済+36万円<117万円
年間ローン返済<117万円-36万円
年間ローン返済<81万円
月々の返済額に直すと、81万円÷12ヶ月=67,500円なので、月々67,500円までであればOKという事になるんですね。
このような感じで計算していく事になります。
あとは返済期間と金利が決まれば逆算して、借入限度額が計算できるんですね。
フラット35は現在の金利がそのまま審査金利になります。
なので仮に1.57%だとすると、Aさんの借入限度額はと2,173万円という事になります。

ちなみに車のローンを全部返してしまい、その他借入を0円にできれば、借入限度額は3,138万円という事になります。
借入可能額が分かればよりイメージがしやすい
現在は便利な世の中でインターネット上には年収・その他借入を入力すると、一瞬で借入可能額が出てくるホームページがたくさんあります。
しかし、この基本さえ覚えておけば、そんなホームページに入力する時もよりも正確な数字が導き出す事ができるんですね。
そして、この基本を知っていれば、借入可能額が希望額より少ない場合にどこをどうすれば良いかという対策を考える事ができるので、より夢のマイホームの実現に近づくでしょう。

借入可能額の把握はマイホーム購入の第一歩
今回のお話は借入可能額においての基本的な考え方なので、今後マイホーム購入を検討しているという方には凄く役立つと思います。
月々の返済額が分かればマイホームへのイメージがとてもしやすくなるので、検討材料として大いに活用してみて下さい。