前回は個人事業主の方に下記の事について解説させて頂きました。
- 住宅ローンを借りるために気を付けなければならない事
- 審査を通過するためのポイント
『本当は十分に返済できるくらい余裕があるのに住宅ローンが借りられない』という残念な事にならないためのヒントをいくつかお伝えさせて頂いたと思います。
現実に住宅ローンの借入が難しいという方は遠慮せずにお問い合わせ下さい。
ちなみに個人事業主の事については自営業者さんの住宅ローン審査のポイントとは?でも書かせて頂いておりますので、よかったらご覧になってみて下さい。
では今回は基本に戻って、借入限度額の考え方についてお話したいと思います。
住宅ローンというのは制限なく借りられるというものではありません。
しかし、その住宅ローンとして借りられる限度額というのはどのような算出されるのでしょうか?
年収によって借入限度額が変わってきますので、この辺を理解する事によって、どれくらいの物件を購入する事ができるのかという事が分かってくると思います。

ここでは借入限度額における基本的な考え方について解説したいと思います。
目次
住宅ローンの借入限度額を決める要素とは?
住宅ローンの借入限度額というのは下記の2つの要素で決まります。
- 担保評価
- 返済比率
担保評価というのは、もし住宅ローンが返済できなくなった場合に『マイホームとして購入した物件を売却するとしたらいくらになるか』を判断した価格の事を言います。

この担保評価についてはまた別のタイミングでお話しさせて頂きます。
今回はもう1つの要素である『返済比率』について分かりやすく解説させて頂きます。
『返済比率』というものを分かりやすく説明すると、『年収』に対する『年間返済額』の比率の事で、数式で表記すると下記のように表す事ができるんですね。
返済比率(%)=「年間返済額」÷「年収」×100
分母になる『年収』については、前回・前々回でも解説させて頂いたように『サラリーマンの方』と『自営業の方』で計算方法が大きく変わってくるんですね。

再度復習になりますが、年収の考え方としては下記のような事になります。
- 給与所得者については『税込収入額』
- 個人事業主については『事業所得額』(売上から経費を引いた金額)
年間返済額と借入の種類
『年間返済額』というのは下記の2つを合計した金額になります。
- 申し込む住宅ローンの年間返済額
- 住宅ローン以外の『分割払いでの借入額の年間返済額(※その他借入)』
その他借入の種類について
一般的に多いのは下記の3つです。
- 車のローン
- 家電製品などの分割払い
- 携帯電話端末の割賦代金
その他には下記の2つなどがあります。
- 通学ローン
- 結婚資金・旅行代金の分割払い
さらに下記の2つなどもその他借入に含まれるんですね。
- 銀行や金融会社の『カードローン』の返済
- クレジットカードを使っての『キャッシング』・『リボ払い』
その他借入の審査上の注意
『その他借入』というのは住宅ローンをお申し込み頂く時に本人が申告するものになります。
そして、金融機関はこの申告内容を『個人信用情報センター』のデータを付け合せるんですね。
これが大幅にズレていると『他にも何か隠されているのではないか?』とより細かく審査される事になります。

なので、なるべく正確に申告した方が審査が円滑に進むと思います。
返済比率の許容範囲ってどれくらいあるの?
このようにして算出された返済比率が『金融機関の定める範囲内』に収まっているという事が、住宅ローンお申し込みの条件になるんですね。
返済比率の許容範囲というのは、住宅ローンお申し込みの方の年収によって決められています。
もちろん、年収が高いほど返済比率が大きくなります。
返済比率の許容範囲は現状はどの銀行でもほとんど同じ基準ですが、フラット35の場合は一般の銀行とは少し基準が違っていて、年収が少ない方には有利な形になっております。

一般的な銀行ローンの返済比率
前年年収 返済比率
300万円未満 25%以内
400万円未満 30%以内
600万円未満 35%以内
600万円以上 40%以内
フラット35の返済比率
前年年収 返済比率
400万円未満 30%以内
400万円以上 35%以内
返済比率の計算例
計算例として、年収400万円で車のローン返済が月々3万円あるAさんが月々8万円の住宅ローン返済をする場合の年間返済額についてご説明したいと思います。
年収400万円なので、返済の限度額は、4,000,000円×35%=1,400,000円
住宅ローン 8万円×12ヶ月=96万円
車のローン 3万円×12ヶ月=36万円
年間返済額 96万円+36万円=132万円
となり、返済額1,320,000円<1,400,000円なので、申し込みOK
年収400万円が住宅ローン借入額の分岐点
ところが、Aさんの年収が399万円だったとすると、返済比率は30%以内になります。
そうなると、返済の限度額は399万円×30%=1,197,000円になってしまうんですね。
返済額1,320,000円>1,197,000円という事になります。
返済比率オーバーになってしまい、たった1万円少ないだけでもお申し込みができなくなってしまうんですね。

というわけで年収400万円は、住宅ローン借入額の大きな分岐点になるんですね。
返済比率で簡単にシュミレーションできる
今回は返済比率について解説させて頂きました。
返済比率について知っていれば簡単ではありますが、どれくらい借りられるかシュミレーションができると思います。
借りられる金額によってどれくらいの物件にすれば良いかも何となく分かると思いますので、マイホーム購入のイメージもしやすくなると思います。

ただ、実際に借りられる金額ではないので、注意して下さい。