住宅ローンの金利というのは、下記の2種類がある事を前回お話させて頂きました。
- 最初から最後まで金利が変わらずトータルの返済額も確定している固定金利
- 途中で金利が変動して返済し終わってみなければトータルの返済額が分からない変動金利
現在北海道の銀行さんが主力商品として販売している『3年』『5年』『10年』『15年』『20年』という期間を選ぶ事ができる『固定金利期間選択型』のローンというものがあります。
これも返済の途中に金利が変動する商品になりますので、変動金利の住宅ローンという事になるんですね。
固定金利期間選択型の住宅ローンについては固定金利期間選択型は普通の変動金利より危ない?でも書かせて頂いておりますので、よかったらご覧になってみて下さい。
固定金利と変動金利というのはこっちを選んでおけば間違いないという事ができないものなので、どちらにもメリットはありますし、どちらにもリスクがあります。

ここでは固定金利と変動金利のリスクの違いについて解説したいと思います。
目次
住宅ローンは大金を長期間かけて返済する商品
どうして住宅ローンを選ぶ場合には金利動向を気にしなければいけないのでしょうか?
世の中にはローンと名の付くものがたくさんありますが、住宅ローン以外のローンで変動を選ぶか固定を選ぶかで悩んだりする事はあまりありません。
これは何故なんでしょうか?
それは住宅ローン以外のローンというのは金額も小さくて返済する期間も短いので、金利に変更があっても増減する幅が小さく、そんなに影響がないためなんですね。

裏を返せば、住宅ローンは大きなお金を借り、長い期間をかけて返済していく商品であり、たくさん借りているから借入利率が少しでも上がれば、支払い利息は大きく増えます。
だから、金利タイプもしっかり勉強して選ばないと後で本当に困ってしまう事になります。
金利が少しでも上がると月々の負担が増える
分かりやすい例でご説明致しますが、3,000万円を金利1%で借りると、30,000,000円×1%=300,000円という事になるんですね。
年間の支払い利息は30万円になります。
月々の金利の支払いは、30万円÷12ヶ月=25,000円という事になります。
ここで金利が0.15%上がり1.15%になると、30,000,000円×1.15%=345,000円です。
年間の支払い金利は34.5万円となってしまいます。
月々の金利の支払いについても34.5万円÷12ヶ月=28,750円で月々3,750円もアップしてしまうんですね。
大きな金額を借りているので、金利が少し上がっただけでこんなに差が出てしまうんですね。

変動金利の住宅ローンを選んだ時のリスク
ここ20年近く低金利が続いているので、若い世代は金利が上がるという事が実感できない方も多いかと思います。
でも、本来金利というのは上がったり下がったりするものです。
そして、金利は下がる時より上がる時の方が幅も大きくスピードも速い事が多いです。

実際に今から28年前の平成2年には、金利が1年間で2%も上昇しているんですね。
もしこの時点で3,000万円を借りていた人は、30,000,000円×2%=600,000円です。
年間返済額で60万円です。
月々の金利の支払いで60万円÷12ヶ月=50,000円も増えてしまう事になります。
当然、これに元金が加わりますから支払いはかなり厳しくなります。
金利が大幅に上がれば、返済での支払いについてもドーンと上がってしまい、結果として返済が困難になってしまうんですね。
これが変動金利のリスクというわけなんですね。
逆に金利が下がれば、支払い利息は下がり、支払いは楽になりますが、0.8%で借りている人が支払っている利息は、30,000,000円×0.8%=240,000円という事になります。
そもそも月々20,000円しか払っていませんので、もし金利が0%になったとしても月々の利息については20,000円以上安くなる事はないんですね。
つまり、変動金利を選んだ場合、金利がアップした時のデメリットは計り知れないのですが、金利が下がった時のメリットはほとんどないという事になるんですね。

現在の金利は史上最低水準
現在の金利というのは最低の水準であるにもかかわらず、政府はより一層の低金利政策を取り続けているんですね。
ついに『お金を預けると利息が取られてしまう』マイナス金利という信じられない事が実現しています。
ある意味、今は作られた低金利の時代とも言えるんですね。
異例なほどの低金利が続いているので、いつか近い将来金利は必ず上がると思います。
こんな時代だからこそ、史上最低の金利の時期に固定金利・変動金利にはそれぞれどのようなリスクがあるのかをしっかり把握しておく必要があるんですね。

住宅ローンに対する知識というのは夢のマイホームを手に入れるためには持っていて損はないと思います。
直近の数年の支払いが安いのは理由がある
金利のリスクを考える時には長期的な視点が必要です。
変動金利の商品は直近の数年の支払いは安くなりますが、金利が上がった時のリスクは理解しておく必要があります。
固定金利商品は直近の数年は変動金利商品よりも高いですが、それさえ分かっていればそれ以外のリスクと言うのはあまりありません。

この辺の長所・短所をきちんと考慮して住宅ローンを選びましょう!