前回から「どうしてフラット35は一般の銀行ローンに比べて審査基準が緩いのか?」というテーマでお話しさせて頂いておりますが、いかがでしたでしょうか?
以前勤務していた信用金庫でも住宅ローンの審査経験がある私ですが、ここ数年間で2,000件以上のフラット35のお申し込みを審査してきて感じているのは「商品によって審査の仕方がこんなに違う(緩い)ものなのか!」という事です。
審査基準の違いの大きな理由は、フラット35を販売している住宅金融支援機構は民間企業ではなく政府系金融機関であるからという事を前回お話し致しました。
今回は審査金利と借入限度額についてお話ししたいと思います。
ほとんどの方がご存じないと思いますが、一般の銀行ローンではローン審査する時の金利と実際に融資される時の金利というのは実は違うんですね。
これによってフラット35と一般の銀行ローンの借入限度額がかなり違ってきますので、この辺を知っておくと借入限度額が足りない時に役立つと思います。
ここでは審査金利と借入限度額の関係性について解説していきたいと思います。
フラット35は年収に対する借入限度額が大きい!
フラット35は民間の銀行ローンに比べて、年収に対する借入限度額が大きいです。
実はこれもフラット35を取り扱っている住宅金融支援機構が政府系金融機関で、そこが提供している商品だからなのですが、今回はその仕組みについてお伝えしたいと思います。
これは何度も何度もお伝えさせて頂いておりますが、「お客様が借りられる金額の上限=返済限度額」というのは返済比率で決まってくるんですね。
返済比率というのは「年間返済額」を「年収」で割れば算出する事ができるんですね。
この返済比率を下げるためにはこれから挙げる2つの方法しかありません。
住宅ローンというのは金利をプラスしてお客様にマイホームの購入資金を融資するものなので、この金利の部分でフラット35と一般の銀行ローンとでは違いが出てくるんですね。
銀行ローンの審査は実際の金利ではやらない!?
さて、ここでポイントになるのが、民間の銀行ローンの場合、住宅ローンの返済額を計算する金利が実際に借りた人が払う金利ではなくて、「金融機関の審査のために独自に決めた金利=審査金利」になりますので、「実際には4%前後で計算している」んですね。
北海道の民間金融機関の住宅ローンは3年固定金利0.8%が主流ですが、この金利は3年限りのバーゲンセールで本当の金利は現在2.7%から引き下げられている数字なんですね。
その期間が過ぎてしまえばキャンペーンは終わりますので、基準金利が-1.2%になるので、仮に現在の金利水準が継続していたとしても1.5%に上がるんですね。
その時点での金利水準が上がっていれば当然金利も高くなり、利息は増えてしまいます。
もしそうなってしまうと、月々に返済する金額というのは上がってしまい、返済していくのがきつくなって、最終的には返済できなくなる人も出てくる可能性があります。
このため、民間の金融機関というのは金利が上がった場合を想定して、4%前後の金利での返済額を元にして借入限度額を審査しているというわけなんですね。
当然、民間の金融機関は株式会社になりますので、損失を出すわけにはいきません。
返済ができなくなる人が多くなれば、会社の損害は大きくなりますので、結果としてリスクヘッジのために審査金利というものを設定する必要があるんですね。
実際に借り入れする時の金利よりも高く設定されておりますので、年間返済額が増えてしまい、借入限度額というのは当然ながら少なくなってしまう事になるんですね。
フラット35は実際の金利で審査する!
それに対して、フラット35は35年間もの間一切金利が変化しない商品になります。
万が一市場の金利が上がったとしても、お客様が月々返済する金額というのは一切変わらないので、実際に適応される金利のままでローン審査をするんですね。
仮に現在の金利が1.55%であれば、審査金利も1.55%という事になります。
年収350万円の方を例に挙げて解説すると、返済比率の上限というのは30%以内になりますので、月々返済額の限度は116,666円までという事になります。
ここから借入限度額を逆算しますと、審査金利が4.00%の場合は借入限度額が1,976万円なのに対して、審査金利が1.55%の場合は借入限度額が2,835万円となります。
フラット35の方が1,000万円ほど多く借りられるという事になるんですね。
別の角度から見れば、民間の金融機関が将来的に4%程度になると見込んでいる金利をフラット35を使えば、1.55%で借り入れできるという事なんですね。
これだけ借り入れできる金額に違いが出てしまうのは今が「超低金利時代」だからなのですが、このカラクリについてはまた次回お伝えしたいと思います。
銀行ローンは実際の金利と審査の時に使う金利がかなり違うので、借入限度額がどうしても低くなってしまいます。銀行ローンでも希望額に達していれば問題はないのですが、もし希望額に達していなければ、フラット35を利用した方が良いと思います。
