変動金利では一般の方はほとんど知らないようなリスクも実はあるんですね。
その中の1つに『1.25倍ルール』というものがあります。
変動金利の住宅ローンを選んだ方はこの1.25倍ルールも知っておかないと、後で痛い目に遭ってしまうんですね。
そこで今回はその変動金利に適応される1.25倍ルールについて解説したいと思います。
1.25倍ルールというのは、もし金利が上がってしまって元金の返済が増えたとしても、支払う金額は現在の支払額の1.25倍までしか上げませんよというルールになります。
具体的にご説明したいと思います。
月々の支払いが10万円の場合、金利が大幅に上昇して、月々の支払いが15万円に上がってしまいました。
それでも1.25倍ルールが適応される住宅ローンの場合、返済は12万5千円までしか上がらないというのが1.25倍ルールというわけなんですね。
金融機関で提供しているほとんどの住宅ローンはこのルールが適応されているので、突如として金利が上がったとしても当面の支払いに困るという事は無いと思います。
1.25倍ルールの落とし穴とは?
住宅ローンを借りる側の立場を考慮したように見える1.25倍ルールではありますが、実はこの1.25倍ルールには大きな落とし穴がある事をご存知でしょうか?
ポイントは本来支払うべき15万円から実際に支払う12万5千円を差し引いた2万5千円というのは、金利が免除されているのではないんですね。
本来支払うべき元金返済分を利息の支払いに当てられてしまい、元金の支払いが後回しにされてしまうという事なんですね。
つまり、利息の支払いが増えてしまったので、元金の支払いを待ってもらって利息だけを支払うというナニワ金融道に出てくるようなシステムなんですね。
簡単に説明すると、月々10万円の支払いのうち、2万円が元金、8万円が利息だとします。
金利が大幅に上がった結果、月々の支払いが14万5千円に上がってしまいました。
この場合の内訳は元金2万円、利息12万5千円です。
しかし、1.25倍ルールが適応されるため、支払いは12万5千円までしか上がらず、『良かった、良かった』とはならないんですね。
何故かと言うと支払いの内訳は、元金0円、利息12万5千円という事になります。
元金の支払いが0円という事は、利息しか払っていないという事なので、元金は全く減らないんですね。
このような場合、ルール上ではずっと利息だけ支払い続ける事になり、最終返済日に元金をまとめて支払うという事になってしまいます。
なので、極端に言えば30年後に銀行さんから『期日が来ましたので、2,000万円まとめて払って下さい』と言われる可能性もあるんですね。
現実問題として、このような事になってしまったら対応のしようがないですよね。
金利が上がる事で住宅ローン難民になる!?
まさかそんな事が本当にあるの・・・と思う方も多いかと思います。
しかし、バブルの頃は『景気が悪くなる』という事など誰も予想していませんでした。
『所得はどんどん増えていく』という前提で5年後に返済額が大幅にアップするステップ方式というのが人気になっていたんですね。
たくさんの方がこぞってこのステップ方式の住宅ローンを使っていたんですね。
その後にバブルが弾けて、建設業や不動産業のサラリーマンの給料が大幅にダウンして、住宅ローンの返済ができなくなる人が次から次へと現れて、住宅ローン難民という言葉が生まれました。
さらにアメリカで不動産が上がり続ける事を前提に低所得者向けに作られたサブプライムローンが破綻し、大手金融機関がどんどん潰れていったのは、まだ記憶に新しいですよね。
バブル崩壊もサブプライム破綻も直前までは誰もがそんな事は起こるわけがないと何の根拠もなく信じていました。
変動金利は金利が上がれば、当然ながら支払いも増えます。
突然の金利上昇で返済ができなくなり、住宅ローン難民が生まれない事を祈るばかりです。
ちなみにバブル崩壊で起こった住宅ローン難民についてはバブル崩壊で起こった住宅ローン難民問題とは?でも書かせて頂いておりますので、良かったらご覧になってみて下さい。
1.25倍ルールを知っている方はあまりいない!
住宅ローンは大きな借金を背負う事なのに、中身をあまり知らないという方が多いのが現実です。
そして、住宅営業マンもちゃんと説明している方が少ないと思います。
1.25倍ルールを知らないでいると、後で確実に痛い目に遭ってしまいます。
でも、こういった事は教えてくれない方が悪いのではなく、知らない方が悪いという事になってしまいます。
当サイトでもこういった情報を随時発信していきますので、是非参考にしてみて下さい。